今月の写真
2025.01.20
『1月10日』小財美香子

リビングにいる友人の背中が見える。
見慣れているはずなのに、今日はどこか違う気がした。
その腕の中には、赤ちゃんが眠っている。
「十月十日」とよく言われているけれど、
実際には少し早く生まれることが多くて一番痛いのは産む瞬間よりも長い陣痛だという。
私は知らないことだらけで、思わず質問を投げかける。
それに答えてくれる彼女は、どこか別人のようだ。
私にとっては未知の経験を経て、少し大きくなったような、逞しさを感じる。
南向きの窓からは、穏やかな日差しが差し込んで、
テーブルには温め直してくれたパンが静かに香っている。
その香りが、私たちを優しく包み込んでくれるようだった。
すべての幸せがここに集まっているような、そんな気がした。