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ぼくらのエンジン

若い世代を夢中にさせる、ライフスタイルとしてのバスフィッシングに注目!

バスフィッシングは、フシギなアソビだ。アウトドアであり、スポーツであり、ファッションであり、カルチャーであり、ライフスタイルでもある。単なる釣りではくくれないこのアソビに、いま若い世代が熱い視線を注いでいるという。日本最大のバスフィッシングの祭典「Basser Allstar Classic(バサーオールスタークラシック)」の会場から、その実態をレポートしよう。

INDEX

そもそも、バスフィッシングって?

その名の通り、ブラックバスの釣り。 特にルアーと呼ばれる疑似エサを使ったバス釣りのことを指す。アメリカ発祥の釣りで、遊びの天才アメリカ人らしくゲーム性が高く、またファッショナブルなスタイルが特徴。日本に導入された1970年代ごろから感度の高い若者を中心に流行し、その後も定期的なブームを繰り返し今に至っている。

エサを使った伝統的な釣りと異なり、いつでもすぐに釣りができ、手が汚れず、出るゴミも少ない。ファッションの自由度が高く、また、ギア(釣り道具) やウエア選びも含めて楽しめるというアクティブなイメージもあり、旧来の釣りを敬遠していた人たちにも受け入れられてきた。

どんなルアーを選び、どうやって動かして、どんなポイントを選ぶか。緻密な戦略と、バスの強烈な引き味がいつの時代も人々を魅了する。気軽に始められるが、それでいて奥の深いゲームフィッシングがバスフィッシングなのだ。

国内最大の祭典! バサーオールスタークラシック

そんな日本のバスフィッシングシーンを牽引する、国内最大の祭典が「バサーオールスタークラシック」だ。2023年は10月28~29日の2日間にわたり、茨城県美浦村の霞ヶ浦トーナメントプレイスで開催された。

日本初のバス釣り雑誌「Basser」が主催し、日本が誇るトッププロだけが出場できる2日間の競技会をメインコンテンツに、数多くの釣具メーカーが一堂に介し、さらに地元グルメも堪能できるというバスフィッシングのフェス。今年で35回目(!)を迎える伝統のイベントに、日本全国からバスフィッシング愛好家たちが集まった。

その会場に一歩踏み入れてびっくり! 道行く人たちのファッションがさながら街中のようなのだ。ここが美浦村の、長閑な水辺だとは到底思えないほど、ストリートファッションに身を包んだ若者たちがひしめいている。「釣り」と聞いてイメージする釣り人像とはだいぶ違う印象だ。若者が多いが、一家で釣りを楽しむファミリー層や、我が国のバスフィッシングシーンを牽引してきたベテランなど、会場にはこのアソビに対する濃ゆい情熱が漂っている。

では、その会場の雰囲気をご紹介!

アーバンリサーチも釣りに本気!
「LAKE SEEKER’S(レイクシーカー)」

立ち並ぶブースの中で洗練されたアパレルが目を引く、レイクシーカー。アーバンリサーチの釣り好き社員たちが立ち上げたブランドで、バスフィッシングをスタイリッシュにしたいとアパレルや小物、ギアを展開中。

「既存の釣りウエアはメーカーのロゴが大きく出るものが多い中で、シンプルで街でも着られるようなものを揃えています」

というスタッフさんの言葉通り、シンプルながら大人な雰囲気のウエアがズラリ。それでいて機能性にもこだわっているというから、一味変わった釣りのウエアを探している人は要注目。フリース素材を用いた冬物は自信作とのこと。

ブラックバスをファッションデザインに
「Naughty Bait(ノーティーベイト)」

東京・世田谷のガレージブランドノーティーベイトは、ブラックバスをモチーフにしたアパレルを多数販売。バスフィッシングをライフスタイルに落とし込んだアイテムに、来場者の多くが魅入っていたのが印象的。

バスプロとともに世界に挑む
「伊良コーラ」

カルチャーピープルの話題によく挙がる伊良(いよし)コーラ。都内にも2店舗を出店しており、都会的なイメージの強いクラフトコーラがなぜ美浦・霞ヶ浦の会場に?

聞くところによると、世界展開を視野に入れる伊良コーラは、同じく本場アメリカに挑戦中の若手プロ伊藤巧選手に共感しサポートをしているのだとか。伊良コーラの創業者は幼少期からここ霞ヶ浦で釣りを楽しんでいたそう。やっぱりバスフィッシングはライフスタイルと直結しているのだと実感。コーラは午前中で完売の大人気ぶり!

お洒落着? いえいえ実は本格ウエア
「HELLY HANSEN(ヘリーハンセン)」

街着としての印象も強いヘリーハンセン。実は、ブランドのオリジンはヨットに代表されるセイルスポーツ用防水ウエアにある。2019年からはフィッシングアパレルラインを立ち上げ、その優れた機能性とデザインをアングラーにも提供している。

プロ仕様のバスボートにトキメキ発動!
「ヤマハ発動機」

オートバイの印象が強いYAMAHAブランドだが、バス釣り用の船=バスボートのエンジン(船外機)でも多くのシェアを誇っている。トーナメントに参加するプロ選手たちが信頼を置くのも、ヤマハ製のエンジンだ。

ブースでは米国・スキーター社のバスボートを展示。なかなか乗ることのできないボート上で記念撮影できるとあって、キッズだけでなく大人もテンションがアガる。

バスプロといえばランクル、そのカスタムといえば
「flexdream(フレックスドリーム)」

トヨタ・ランドクルーザー(通称ランクル)やハイエースなどの新車・中古車販売、カスタムショップとして有名なflexdreamも出店。じつは、バスプロとのつながりが深いのだ。

前述のバスボートを牽引しながら、日本全国を走りまわるバスプロたち。その距離は、1年で6万kmを超える(!)というから驚きだ。重量のあるボートを牽引できて、かつ長距離移動を上質なものにしてくれる頑丈なクルマは必須アイテム。ゴリゴリのSUVが多くのプロのチョイスだが、内山幸也プロのランクル200はflexdreamのカスタムでイカツいだけじゃない、ポップで親しみやすいスタイリングに。なんでも内山プロが“カエル型のルアー”の名手ということで、それにちなんだ緑色だそう。あまりに派手なので「どこに行ってもプライバシーはありません」とのこと(笑)。

横ノリのカルチャーをバスフィッシングに
「ELECTRIC(エレクトリック)」

スノースポーツのアイウエアブランドであるエレクトリックも、近年フィッシングシーンへと参入。釣り用のアイウエアはもちろんのこと、好感度なアングラーの熱い視線を集めているのはスタイリッシュなアパレル群だ。モノトーンで統一されたアイテムを颯爽と着こなすクルーの立ち姿はまるでアスリートのそれ。

Youtuberとしてもバス釣りの魅力を発信しているマーモ さん(写真中央)。エレクトリックのウエアを着るのは、「バスフィッシングという、元々カッコいい遊びをもっと楽しみたい」という思いからだそう。彼にバスフィッシングの魅力を聞くと、

「ルアーは1インチくらいのものから、中には40 インチを超える(!)巨大なものまで様々あって、何を使って、どうやって釣ろうかと悩んで、その結果としてバイト(魚信)がきて、一気にアワセる瞬間があって……その全てが楽しいんです(笑)」

と、その深いバスフィッシング愛を語ってくれた。

若い世代も楽しんだ!Basser Allstar Classicスナップ

可愛らしいフレンチブルドッグを連れていたご家族は、神奈川県から。家族みんなで津久井湖のバスフィッシングを楽しむこともあるのだとか。ファミリーで遊べるバスフィッシング、その懐の深さを知る思い。

「バサーオールスタークラシックは毎年来ています。家族でバスフィッシングをしていて、ほとんど毎週行っているので……ガチ勢だと思います(笑)」

と話すひなたママ(写真右)は、房総半島のダム湖をメインに釣りを楽しんでいるとか。親御さんが釣り好きな場合、だいたい娘さんは渋々付いていく……というパターンが多いと見受けられるが、関係者にサインをもらっていた ひなたさん(写真左)は、自身もバスフィッシングに夢中。好きなプロ選手は「ハシタク(橋本卓哉プロ)と青木大介プロ……」とはにかみながら答えてくれた。

バサーオールスタークラシックの会場にはキッズたちの姿が本当に多かった。

王者決定! 会場の盛り上がりが最高潮に! 

大会の最後には、湖上で釣り競っていたバスプロたちの結果発表が。音楽や映像の演出を受けて華やかに登場していくプロ選手たち。バスフィッシングが、こんなにもエンターテインメントであることに驚かされる。スゴイ。

そして大会初日に好結果を出していた伊藤巧プロが逃げ切りでの優勝を確定した瞬間、会場は温かい拍手に包まれた。2019年から拠点を本場アメリカに移し世界トップレベルのトーナメントに参戦している伊藤選手。バサーオールスタークラシックのために帰国したという、狙い済ました凱旋勝利。人気と実力を兼ね備えたスター選手の優勝に、華やかな祭典の一日は幕を閉じたのだった。

筆者のように90年代後半の第3次バス釣りブームをアツく過ごした世代が、いまは家族連れでバスフィッシングを楽しんでいるのを見るのは心が温まる体験だった。それと同時に、会場に多く集まっていたさらに若い世代が、それぞれに自分を持ったファッションをして、このアソビを自由に楽しんでいる姿に、ひとつのカルチャーの定着を見る思いがした。

前世代にない環境意識やライフスタイル観をもつ彼ら若い世代が、この先にどんなバスフィッシングの文化をサステナブル に作り上げていくのか、楽しみでならない。

Basser Allstar Classic
https://bac2023.tsuribito.co.jp/

<参考>
『バス問題の経緯と背景』淀太我、井口恵一朗 2004

CREDIT

Text:Yufta Omata
Photo:Aoi Kudo

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