サーキットとバイク。名前も知らないライダーに“走る鼓動”を感じた日。
8月のある日。ふとしたキッカケでサーキットの走行会に訪れた。
バイクなんて乗ったこともないし、自分の世界のモノだと思っていなかったから、
きっと退屈な1日になるだろうと考えていた。
目の前を風のように駆け抜ける、あのバイクを見るまでは。
2024.10.10
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知っていたのに知らなかった、バイクという世界
灼熱のサーキット場。整然と並ぶバイク。それに跨り始める人たち。
テレビやSNSでは見たことがあるけれど、実際目にしてみると、
クローズでありながら開放的なその空間に、いつの間にか気分が高まる。
街中では“本気すぎ”とちょっと気が引けてしまうツナギ姿も、
ここでは戦闘服をまとったヒーローのようだ。
スタート地点から少し離れた観戦エリアで、バイクを待つ。
遠くに見えるライダーたち。黒いバイクとカラフルなツナギ姿のコントラストがおもしろい。
徐々にこちらへと近づいてきたかと思った瞬間、
胸の鼓動を打つようなエンジン音とともに目の前を駆け抜けていった。
ほんの一瞬でも感じる、ヘルメットの奥で光る鋭い眼差し。
体を傾けたり、 手元で何かを操作していたり、何をしているのかはよくわからなかったけど、
胸を打つエンジンサウンドを鳴らす あの黒く巨大なマシンを巧みに乗りこなしているのはわかる。
人馬一体とは、こういうことなのか。
人とバイクがひとつになっているかのように、
まるで人間のオーラをまとった風のように、万人の前をひたすら、迷うことなく空を切る。
こんな世界があったのか。
思わず「すげえ」とこぼしながら、夢中でシャッターを切っていた。
走行会が終わり、静まり返るサーキット。
久しぶりに高ぶった感情を抑えようと天を仰ぐと、
抜けるような青空が広がっていた。
「バイクって、かっこいいな」
名前も知らないライダーが教えてくれた、走る鼓動。
僕もいつか、こんな気持ちのいい空の下をバイクで駆けてみたい。
今回のサーキット場で出会ったバイク
YAMAHA「MT-09 Y-AMT」