植物の力強さに“美しさ”を感じる。ファッションと共鳴する「いけばな」の魅力
モデル
name:廣内翔真
occupation:いけばなアーティスト
Instagram:@ender0819
着用
outer:BED j.w. FORD
shirt:KEISUKEYOSHIDA
pants:Patagonia
2024.11.27
INDEX
Q1.トキメキが発動していることは?
花を生けることです。 日本のわび・さびを感じるクラシックないけばなと、自由ないけばなのどちらも好きですが、特にクラシックな表現は自分の強みだと感じています。
Q2.いけばなを始めたきっかけは?
母がいけばなをしていて、幼稚園の帰りにその教室について行ったのが最初のきっかけです。初めは花をちぎったり、浮かべたりと、ただの遊び道具が花だったような感覚でしたが、自然と毎週通うようになり、気づけば御免除を取得するまでになっていました。京都出身で、大学生時代も京都の先生のもとでいけばなを学び続けていました。
その後、就職のために上京し、数年ほどいけばなから離れていました。国内のメゾンブランドで販売やPRの仕事をしていたのですが、怒涛の忙しさの中で、このままでは自分を見失ってしまうと感じていました。それでも心の中で『もう一度いけばなをやりたい』という思いがあり、3歳から大学卒業までお世話になった京都の先生に相談しました。すると、東京で新しい先生を紹介していただき、再び稽古を始めることができました。
僕はやっぱりファッションが好きですし、そこに関わる方法を模索する中で、いけばなは自分の武器だと思うようになりました。ファッション業界の友人たちにも助けてもらいながら、今の活動に繋がっています。
Q3.いけばなのトキメキポイントは?
無機質なものと有機的な植物の組み合わせ、たとえばコンクリートから突き出る植物の力強さに、僕は強く惹かれます。圧倒的に弱い存在である植物が人間の作ったものを突き破り、懸命に生きようとする姿に美しさを感じます。これが僕の作品のベースの一つであり、植物の「かっこよさ」を表現したいと心から思っています。
約3年ほど活動を続けてきた中で、友人からの後押しもあり、展示も開催するようになりました。展示中、植物の表情が日々少しずつ変わっていくのも魅力のひとつ。もちろん生け直すこともありますが、その変化も含めて楽しんでいただけると嬉しいですね。枯れた葉を意図的に作品に取り入れることもあります。お花や葉は枯れるものなので、移ろいをそのまま表現することで、僕自身が感じる日本らしい感性を伝えたいです。
トキメキの瞬間として特に楽しいのは、植物の使いたい部分を見立てるときです。僕の身長を超えるような大きな枝を買っても、実際に使うのはその一部だけ。「ここを使いたい!」と直感的に思う部分を見立てられたとき、トキメキを感じます。
Q4.これからやってみたいことは?
いろんな場所でお花を生ける機会がもっと増えたらいいなと思っています。僕がいけばなをする理由は、単に華道の世界で頑張りたいからだけではありません。ファッション業界などで必要としてくれる人がいたら、そこで僕の力を活かせたらと思っています。
いけばなって、なんとなく扱いづらいイメージがあると思います。確かにルールがあるし、半分正しいと思いますが、日本人ならどこか親しみを感じたり、いいなと思える部分がある日本の文化だと思います。僕がやることで少しでも興味を持ってもらえたら嬉しいですし、もっとカジュアルに楽しんでほしいです。僕自身、「気軽にお花を生けさせてください!」という感覚で取り組んでいきたいですね。
ファッション業界にも「お花の人」として思い浮かぶ存在がいますが、「こういうテイストなら彼だな」と思い出してもらえるようになれたら嬉しいです。まだまだ未来の目標ですが、その方向に少しずつ進んでいきたいと思っています。