「落とし物」や「ご自由にお持ちください」。人を感じる風景に出合う、トキメキだらけの朝散歩

Q1.トキメキが発動していることは？

散歩です。歩くスピードじゃないと見つけられないことがあると思っているので、2時間くらいは平気で歩けちゃいます。特に朝の散歩に魅力を感じていて、おそらく外に漏れてしまっているくらい、楽しそうに歩いてると思います。

夜の散歩は音楽を聞きながら歩くことが多いですが、朝に散歩するときは、ただ自然の音を聞きながら歩くことが多く、目に入ってきたものと、自分の思考が重なった瞬間はすごく嬉しいですね。

行きたい場所を調べてから行くこともありますが、基本的には偶然見つけることが好きなので、知らない場所に行ったり、近所でも遠回りして違う道から帰ったり、探検しながら散歩しています。

Q2.散歩を始めたきっかけは？

高校生のときから、放課後に寄り道して、自分の足でなにかを見つける楽しさを感じていた気がしますが、こんなに散歩をするようになったのは、山形から上京した18歳からです。

埼玉寄りの東京に住んでいた頃、仕事柄夜遅く帰る生活をしていたのですが、日の出がどうしても見たくて、朝の4時頃に起きて、1時間ほど歩いて湖に行っていました。朝日がパーっと上がり、眩しくて軽く目を細めたとき、写真でいう“ゴースト”のような光の像が見える瞬間にすごくときめいて。散歩することで自然に触れ、気持ちを前向きにリセットできることや、さまざまなときめく風景と出合えることを体感したので、散歩が更に好きになったんだと思います。

東京に来て5年ほど経ちますが、東京は目に入ってくる情報が明らかに多いんです。知らない道を歩く度にまだまだ新しいことに出合えるので、ずっと旅してる感覚もありますね。

Q3.散歩のトキメキポイントは？

大人になると、何かしらお金を使う遊びが増えると思いますが、小さい頃はお金なんて関係なく、カラダひとつで無限に遊べました。それに近い感覚が散歩にもある気がして、トキメキます！だれでもどこでもできる楽しい遊びだと思います。

散歩をしていると、たくさんのトキメキに出合いますが、特に落とし物、手書きの記録がある道路など、そこに人がいたんだろうなと想像できたり、ストーリー性が見えたりする風景にときめくことが多いです。「ご自由にお持ちください」と物が置いてある光景も好きですね。田舎に住んでいると、知り合いが野菜を持ってきてくれたり、物々交換は日常的なのですが、その感覚にちょっと近いのかなと思っていて。東京は人がたくさん居て、ご近所付き合いも中々難しくなっている中で、こういう文化はすごく素敵だなと思います。

朝の散歩が好きな理由の一つでもあるのですが、朝動いてる人はおじいちゃん、おばあちゃんが多く、みんなめちゃくちゃ元気なんです。公園で太陽拳のような体操をしていたり、老夫婦が二人で歌っていたり、そういうのほほんとする景色がすごく好きですね。そんな中、私がウキウキ歩いていると不思議がられることもありますが、ときどき「おはようございます」と挨拶してくれることがあって。その時限りだけど、一瞬なにかが繋がったような瞬間にもトキメキます。

この前、散歩中に雑草か花か分からないほどモジャモジャした花壇を見ていたんです。そのとき、自転車に乗っていたおばちゃんがこちらに来て、一緒に花壇を見ながら「これは植えられたものだけど、これは雑草だから気になっちゃうのよね」と話しながら、雑草を抜き始めたんです。どうやら違う場所で花壇の手入れをされている方みたいなのですが、今住んでいる街で知らない誰かと話すことは初めてだったので、すごく嬉しかったです。

Q4.これからやってみたいことは？

知らない場所や知らない道に興味があるので、 もっといろんな場所に行きたいです。去年初めて一人旅をしたのですが、今年もしてみたいですし、離島や海外にも行ってみたいですね。

仕事面では、今はアーティストのアシスタントをして絵を描いているのですが、自分が惹かれるものを今より深いところまで突き詰めて、うまく表現していけたらいいなと思います。散歩はインスピレーションの一つになっているので、これからも続けていきたいです。