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初めての始まり。

始まりは「父と過ごした雪山での1日」。自分や大切な人と向き合う時間と、山岳ガイド資格へのチャレンジ

独自の空気感とファッションセンスだけでなく、登山をはじめとするアクティブなライフスタイルにも注目のモデル・七海さん。今年の2月には山岳ガイドの資格を取得したという彼女が、山の楽しさを知った忘れられない1日のこと、登山の魅力、最近のチャレンジについて語る。七海さんが気になっていたという箱根の北西部に位置する「金時山」に登りながら、お話を聞いた。

INDEX

きっかけは受験期に父と過ごした雪山での1日。

曇り空でしたが、少しずつ晴れてきましたね。登山を始めたきっかけは何だったんですか?

1番記憶に残ってるのは、 私が高校3年生のときです。大学受験で志望校に落ちまくり悩んでいたのですが、私は「大丈夫大丈夫!」と元気に振る舞ってしまうタイプで。でも、目のクマも酷いし明らかに顔が疲れてたみたいで、地元・岐阜で山岳ガイドをしている父が「七海、山登りに行こう」と言って、山に連れて行ってくれたんです。

その日は、どんな1日を過ごされたのでしょうか?

スノーシューという雪の上を歩いても深く沈まないアイテムがあって、それを履いて山頂まで歩いていきました。滝が凍っている景色の中、ソリで滑ったり、カップヌードルを食べたり、ウィンナーを焼いて食べたりして。父は口で何かを言うより、行動で示すちょっと不器用なタイプなのですが、私を思って連れ出してくれたその時間のおかげで心がすごく軽くなったんです。

記憶にないくらい小さい頃から、山に連れて行ってくれたこともあるし、自然と触れ合う機会は多かったのですが、こんなにも山ってめっちゃ楽しい!と思ったのは、多分それが初めて。今でも鮮明に覚えていて、忘れられない一日です。

素敵な思い出ですね。その後、ずっと登山を続けていたのでしょうか?

大学入学のために上京することになって、上京してからの4年間は、一切登山に触れなかったんです。すぐ近くに山がないということもありますが、元々興味があったファッションやカルチャーなど、東京には想像以上の刺激がたくさんで、他のことに夢中になっていたら、登山できないまま4年間が過ぎていきました。

でも、 ここ1、2年の間に友達が誘ってくれて、久しぶりに山に登ったら、やっぱりめっちゃ気持ちいい!と思ったんです。

地元では山との距離が近すぎて、連れて行ってもらうことはあっても、自分から積極的に行くことはなかったのですが、東京で暮らす今「やっぱり私には山の時間が必要だ」と気づいて。一気にのめり込むようになりました。

自分とも大切な人とも向き合える時間。自信に繋がる大切な一歩

七海さんにとって、“山の時間”はどんなものか気になります。

私は良くも悪くも、全てに全力投球する猪突猛進タイプというか……肩に力が入っちゃうことが多いのですが、それを緩めてリフレッシュできる大切な時間だなと思います。今は、どうしてもデジタルの情報が溢れていて、スマホを手放せない日常だと思いますが、山ではスマホから離れて、自然とデジタルデトックスできる部分も心地いいですね。

たしかに、デジタルデトックスすると気持ちが切り替わりますね。ほかにどんなところが魅力だと思いますか?

自然の中の何気ない風景はもちろんですが、1歩1歩着実に自分の足で登るからこそ、「ここまでやりきった自分は偉い。強い。」そういう気持ちになれるところです。

日々さまざまな情報が入ってくるので、私はつい誰かと比べてしまう事があるのですが…

本当に、そういう人にこそめちゃめちゃオススメしたいです。私も、つい誰かと比べてネガティブになってしまうことはあります。でも、山では他の誰でもなくて、自分と向き合える。ただ山に登るだけで「自分ってすごい!」と認識できることが、すごく大事なことだと思うんです。

今日登ってみて、たしかにそうだなと感じます。普段、友達と一緒に山に登ることが多いのでしょうか?

固定のメンバーというよりは、あまり登山を経験したことがない友達と数人で登ります。自分に合う靴だけ揃えてくれたら、 あとは私が貸せるものがあるし、「絶対行ったら楽しいから、行こう!」と誘うことが多いですね。私が登山の様子をInstagramで投稿しているので、それを見た友達が 「連れてって!」とリアクションをくれて、一緒に行くことも増えてきてすごく嬉しいです。山にいると、街で会うよりも「人と人」として友達ともじっくり向き合えるので、それも魅力の一つですね。

面識がない友達同士を連れて行くこともあるのですが、山で同じ経験をすることで誰でも打ち解けられるというか、人同士の距離を縮められるなと思います。私の友達はほんとに最高で、スーパー素晴らしい人たちばかりなので、山をきっかけに繋がって、山を離れても何か一緒に仕事をすることになったりとか。そういう山の輪が広がっていくと嬉しいです。

七海さんのオープンでハッピーなパワーがあってこそ、素敵な輪が広がるだろうなと想像します。七海さん自身も、新しい人と繋がるような場に対して、昔から抵抗がないタイプでしたか?

子どもの頃から好奇心旺盛でしたが、同時に「大丈夫かな?」と急に冷静になっちゃう自分もいて。そういう時は母がプッシュしてくれたんです 。小中学生の頃は3泊4日の交流会や、毎週土曜日に開催される、キャンドル作りや生花などの体験ができるワークショップに母が申し込んでくれて参加していました。私が今でも全然人見知りしないのは、昔から知らない人ばかりの場で楽しく過ごす機会が多かったからだと思います。今思うと、すごくいい環境で育ててもらったなと思います。

モデルのお仕事にも通ずる部分がありそうですね。

そうですね。初めて会う人にも壁を感じないし、むしろ「この人どんな人だろう?」という好奇心が勝ちますね。

七海さんのルーツを、少し感じられた気がします。少し山の話に戻りますが、特に面白いなと思う山はありますか?

火山が結構好きです。面白い石も落ちていて、地形も面白い。火山の成り立ちは、マグマが噴火して、溶岩や火山灰が積もって、そこに雨が降って、種が落ちて、草が根を張る。そこから長い年月かけて森ができて…という壮大な背景を考えると、「地球ってハンパない!」と思います。

以前登った磐梯山という山の周りには、噴火と山体崩壊によってできた湖沼が数百とあって。その中でも銅沼が印象的で、水面に磐梯山が反射して映った景色が壮大で神秘的でトキメキました。

山岳ガイドの資格を取得。チャレンジの理由と今後やってみたいこと

最近山に関して大変だったことや、チャレンジしたことはありますか?

山岳ガイドの資格があって、積雪期以外はすべての山のガイドを行える「山岳ガイドステージⅠ」という資格を今年取得しました!

すごいですね!資格取得には、どんな試験があるのでしょうか?

筆記試験と、泊まり込みの実技試験が2回あります。中にはロープを使った実技もあり、事前に公園でめちゃくちゃ練習していたので、試験のときに「消防団か何かやっていたの?」と言われるぐらい上達しました(笑)。

準備もたくさんされたのですね。実際に山岳ガイドをしたいと考えて資格を取得したのでしょうか?

今のところ、ガイドをしたいというより、自分と一緒に登る友達を安全に楽しませてあげたいという思いが強いです。私は連れて行く側だけど、もし山で何かアクシデントが起こったとき、何もしてあげられないなと思ったんです。 だから、知識を蓄えたいし、発信する立場としても、面白い側面に限らず安全面も伝えていきたいなと思っています。

これからやってみたいことがあれば教えてください。

私の父は、積雪期のいわゆる雪山も含め全ての山を案内できる「山岳ガイドステージII」の資格を持っているので、私も同じ資格を取りたいという目標があります。

今日はこれをしようという小さなことでも、大きいことでも、何か目標を持っていることはすごく大事だと思うので、割と日常的にやってるかもしれないですね。

山以外でも、チャレンジしてみたいことはありますか?

モデルの枠組みを超えて、演技にチャレンジしていきたいです。そのために自分の中に表現の引き出しを沢山つくって、磨く1年にしたい。そして、今年は色んな国に旅行にも行きたいです。

最近、いろんな国の人との交流が増えて、文化が違いすぎてすごく面白いんですよ。私はアジア圏にしか行ったことがないから、ヨーロッパとかアメリカとか、もっといろんな国の人と話し、文化を知りたいという気持ちがあります。とりあえず、6月にパリへ旅行に行くので、それがすごく楽しみです。

応援しています!ちなみに、海外の山にも興味はありますか?

あります!日本の山は、頂上を目指して登るところが多いのですが、海外は縦走に向いている山が多いので、また違う楽しみ方ができそうです。旅行もかねて、海外の山にもいつか行きたいですね。

もし登山に興味を持った人がいたら、どんな言葉をかけますか?

もちろん最低限の下調べや、安全面の準備は必要ですが、とりあえず自分の足に合う靴と、ザック。あとは、最後まで登るぞという根性があれば、山には登れます!最初はガイドさんや経験者と一緒に登るのがオススメです。私もアウトドアメーカーさんと組むなどして、登山をはじめるきっかけ作りができたらいいなと思っています。東京だと高尾山など、初心者でも登りやすい山は調べてみるとたくさんあるので、登山の魅力も広がるといいなと思います!

真っ直ぐな言葉で、登山の“初めての始まり“から最近のチャレンジまで語ってくれた七海さん。肩の力を緩め、自分を褒めてあげて、大切な人ともじっくり向き合う……そんな山の時間を大切にすることが、七海さんのポジティブなパワーの根源にありそう。これからも、春風のようにあたたかい山の輪が、彼女から広がっていくのだろう。

モデル 七海(ななみ)

2000年生まれ、岐阜県高山市出身。大学進学のため上京し、大学では法学部を専攻。モデルとしてファッションからビューティーまで幅広く活躍しながらも、山岳ガイドを務める父の影響で登山に没頭。2024年2月には山岳ガイドの資格を取得。 Instagram:@yamaumi07

CREDIT

photo:Kyohei Hattori
edit&text:Hinako Masuyama

SHERE

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