今月の写真
2025.04.30
『煌々とひかる』横浪響

コロナが落ち着き始めた⼤学⼆年の春。 ゼミで⼀緒になったふたりの学⽣に誘われて、海辺へ星を⾒に⾏った。
星に特別な興味はなかった。
けれど、誰かに声をかけられたことがうれしかったのかもしれない。コロナで友達がひとりもいなかった⾃分にとって、それは⼤きな出来事だった。
海辺に着くと、静かな波の⾳と共に、夜の冷たい⾵が肌を撫でた。空には星が瞬き、⾵によって舞い上がった海⽔は霧のように漂い、回転する灯台の光がそれを優しくなぞった。
フィルムカメラによる⻑時間露光が、その場にあった複数の現象を⼀枚の画に重ね、幻想的に記録した。
ほんの少し外に出ただけで、世界の⾒え⽅が変わることがある。そして、その事を教えてくれた、あのとき誘ってくれたふたりには、今も⼼から感謝している。

