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初めての始まり。

水中の音、小さな花、手のひらの魚。モデル・未妃が教えてくれた、“動くことで見つかる”トキメキの気配

登山にダイビング、釣りまで。気になったら、まず動いてみる。

モデル・未妃は、自然の中で自分の感覚をひらきながら、出会った景色や気持ちを誰かと分かち合ってきた。

「自然の中にいると、五感のアンテナが全部立つ感じがして、風の匂いや鳥の声、土の湿り気にも自然と反応できるようになる。」

そんな感覚を持ち帰ってからは、街でもふと小さな自然に気づけるようになったという。

思いがけないきっかけから広がった、彼女のアクティブな毎日と、動くことで出会ってきた“トキメキ”をたどる。

INDEX

思いがけない出会いから始まった、五感が動き出す風景

日々アクティブに過ごされていると思いますが、最近ときめいていることはなんですか?

もともと何にでも興味を持っちゃうタイプなんですけど、特に登山とダイビングは特別な存在になってきました。どちらも、心も身体もリセットされる感じがあるんです。

そのふたつに、どうやって出会ったんですか?

登山は、長野の蓼科にある「白駒池」っていう湖に行ったのがきっかけでした。友達と「ここがキレイらしい!」と気軽な気持ちで向かったんですけど、思っていたよりも本格的な登山道で(笑)。雨が降ってきて、装備も軽装だったから途中で引き返すことになってしまいました。「次は絶対ちゃんと準備して登るぞー!」と、悔しさもあって。それが登山を始めるきっかけになりました。

ダイビングは、大学のときにフィリピンに留学していた先輩が「ライセンス、意外にめっちゃ安く取れるよ!」と言っていたのをふと思い出して。友達に「ダイビングやってみたいんだよね」と話したら、「実は私も!」と盛り上がって、すぐ沖縄でライセンスを取りました。

講習のあとに初めてのファンダイビングに行って、あまりの楽しさに「これだ!一生の趣味を見つけたかも!」って一瞬でハマっちゃいました。視界いっぱいに広がる青の中に、サメやウミガメ、水族館でも見たことがないような不思議な魚がたくさんいて、「こんな世界があるんだ…」って、ただただ感動して。別世界のようなその新鮮な感覚が忘れられなくて、翌月にはもう次のステップのライセンスを取りに行ってました(笑)。

一度目でそこまで…!よっぽど強い感覚があったんですね。

はい、あの感覚は忘れられないですね。水中では喋れないから、“音”にすごく敏感になるんですよ。自分の呼吸の音とか、泡が浮かんでいく音とか、遥か遠くのボートの音とか。日常では気づかないような音がすごくきれいに聴こえて、すごく不思議な感覚でした。

あと、水中から水面を見上げたときの景色がすごく好きです。光が差し込んできて、ゆらゆらしていて、「こんなふうに“上”を見たこと、ないな」って。地球をひっくり返したみたいな視点で、ただぼーっと眺めているだけで、すごく癒されるんですよね。

去年石垣島でウミガメを見たときも、泳ぐ姿をちょうど下から見上げるかたちになって、そのシルエットがほんとうに可愛くて。ああ、今しか見られない景色だなって思いました。

想像するだけでも、不思議な感覚になってきます。

登山にも、登山ならではのトキメキがあって、登っている途中、膝くらいの高さに、誰も気づかないような小さな花が咲いていたりするんです。名前はわからないけど、小さな体でふわっと風に揺れていて。あまりにも可愛くて「見て見て〜!」って誰かに言いたくなる。みんなで「かわいい!」って盛り上がる時間がすごく好きです。

自然の中にいると、五感のアンテナが全部立つ感じがするんですよね。風の匂い、鳥の声、土の湿り気。東京の街にいるときはつい忘れてしまいがちなことに、ちゃんと反応できるようになる。そうやって感覚がひらいていると、街に戻っても、意外と聞こえてくる鳥の声や、足元の小さな自然に気づけたりして。そういう感覚を持って帰ってこられるのが、自然のすごさだと思っています。

捌いて、学んで、ちょっとだけ野生に近づいた日々

アウトドアの中でも、特に意外だった体験ってありますか?

釣りがそうでした。最初は、地元の友達に連れて行ってもらったんですけど、初めて釣れたとき「えっ、私が釣ったのこれ!?」ってびっくりして(笑)。その日の夜、家に持ち帰って、魚の名前や捌き方を調べて、YouTubeを見ながらひとりで格闘して…5時間ぐらいかけて一匹捌きました。

それ以来、捌くこと自体も好きになって。魚によって骨のつき方も違うし、内臓の色も違うし、味も違う。「魚って、こんなに個性あるんだ」と感動します。

魚への視点もどんどん変わっていったんですね。ダイビングもされていますが、ギャップを感じる部分はありましたか?

あります。ダイビングって、海の中の世界に“おじゃまする”ような感覚なんですよ。魚たちが泳いでいるのを、そっと見守る側だったのに、釣りってその魚を獲って食べる行為だから、最初はちょっと複雑で…。「いいのかな?」と戸惑いもありました。

でも、自分で捌いて、ちゃんとおいしくいただく。魚の体のしくみを知ったり、鮮度で味が変わることを実感したり。そうやって一つひとつの命に向き合うことが、逆に自然に対するリスペクトにつながってるのかも、って思えるようになって。

向き合うからこそ、距離が縮まっていったような。

なんというか、「生き抜く力」みたいなものに惹かれているのかもしれません。
YouTubeでも、木で火を起こしたり、素手で魚を捕まえたりするサバイバル系の動画が大好きで(笑)。実際に自分でもやってみたいなって思っています。ナイフもない、火もない、そんなときにどうやって食べ物を確保するか。想像するとワクワクするし、考える力が鍛えられる気がするんです。

“もしものとき”を想像して行動するって、すごく頼もしいです。

実際、登山でも釣りでも、最近は友達に「連れていって!」って言ってもらえることが増えてきて。自分が先頭を歩いたり、装備を提案したりする場面も多くなりました。だからこそ、もしもの状況に備えておくとか、自分でちゃんと考えて動けるようにしておきたいなって思うんです。誰かを連れていく立場になると、自分ひとりで楽しんでいた頃とはまた違う目線になりますよね。

なるほど。そう思えるのも、自然の中で得てきた経験があるからこそですね。

自然の中での出会いや経験って、いろんなことを教えてくれる気がしていて。石垣島でも、忘れられない体験がありました。

地元のおじいちゃんが、「食べなさい」って、手に持っていたちっちゃな魚を笑顔でひょいっと渡してくれて。そのあと近くのお家で、醤油をかけて一緒に食べさせてもらったんですけど、味以上に、「この人、私たちにおいしいものを食べてほしかったんだな」っていう、あたたかい気持ちが伝わってきて。まさに「カメーカメー攻撃」ってこういうことだ!って思いました(笑)。“たくさん食べなさい”って、次々にごはんを出してくれる沖縄のおもてなしのことなんですけど、まさにそれでした。

誰かの「してあげたい」という気持ちって、もらうと忘れられないですよね。

伝えたい景色が増えるたびに、また外に出たくなる

その“もらった気持ち”を、発信を通して誰かに返しているようにも見えました。

それは結構あるかもしれません。Instagramでアウトドアの投稿をするとき、毎回キャプションが止まらなくて(笑)。そのときの空気感や気持ちを、自分でもちゃんと覚えておきたくて、つい細かく書いちゃうんです。

「この瞬間、気持ちの良い風が通ってたな」とか、「山頂で飲んだコーヒーや、休憩中のりんごも、なんであんなにおいしかったんだろう」とか。そういう、自分だけの感覚も、誰かに伝えたいって思うんですよね。

投稿を見た人が「ちょっと行ってみようかな」って思ってくれたら、それがいちばんうれしい。「おすすめの山ありますか?」って聞いてくれる人も増えてきて、少しずつ広がっていってる感じがします。

その熱量が、まっすぐ伝わってるんだと思います。

もともと私も、最初の一歩がなかったら知らなかった世界ばかりだったから。「こんな気持ちになれる場所があるんだ」って、誰かにとっての入り口になれたらいいなって思うんです。自然って、見え方も感じ方もひとそれぞれだから、もっと知ってほしい、体験してほしいっていう気持ちが強くなってきました。

自然の中でアクティブに過ごす時間って、未妃さんにとってどんな存在ですか?

モデルの仕事も、自分に合っているし好きなんですけど、自然の中で動いてるときって、もっと深いところで「あ、自分だ」って感じられるんですよね。理由はうまく説明できないけど、五感がひらいてて、全身で「今ここにいる」って思えるというか、スイッチが入る感じがある。いろんな情報に囲まれている日常から、一度ふっと離れる時間があると、自分の輪郭がはっきりしてくる気がします。

これから、そんな“自分らしさ”に出会える瞬間は、さらに増えていきそうですね。

はい、どんな出会いがあるんだろうとワクワクします!

最近は、パラグライダーは絶対にやってみたいと思ってるんです。あとは、農業にも興味があって、最近は友達の畑に通わせてもらっています。野菜を育ててみたいんですよ。あの小ささに命がぎゅっと詰まってる感じが、たまらなくて。自分で育てたものを食べてみたいし、「育てる」という角度からも、自然ともっと仲良くなれたらいいなって思います。

モデル
未妃 Miki

ファッションからライフスタイルまで、さまざまなメディアや広告でモデルとして活動中。自然をこよなく愛し、登山、ダイビング、釣り、自転車などアクティブライフを楽しむ。最近は農業にも興味があり、友人の畑での体験を通して“育てること”にもトキメキを感じている。

Instagram:_miki___k

CREDIT

photo:Kyohei Hattori
hair&make:Kotomi Goshima
edit&text:Hinako Masuyama

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PROFILE

HATSUDO編集部 by ヤマハ発動機

“トキメキ”発動中

HATSUDO編集部 by ヤマハ発動機

わたしたちを素敵な未来へ導く"トキメキの発動"にフォーカスし、その原動力を探求、発信しています。


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