今月のイラスト
2025.01.13
『模様の年輪』Syamauchi
蝶は擬態する。
木の葉や樹皮に溶け込むものもいれば、毒のある種を真似た派手な斑紋で警告するものもいる。それらは生き残るために進化してきた姿だが、その完成度にはつい見入ってしまう。
ダーウィンは、環境に最も適応したものが生き残ると説いた。この言葉を思い浮かべると、いつも見ている蝶の模様ひとつひとつが、無数の選択と淘汰をくぐり抜けた結果だと気づく。その静かな重みを思うと、自分もまたこの大きな自然の一部なのだと感じる。
散歩の途中、ふと蝶に目が留まる。そのはねに刻まれた時間の流れを想像していると、風や木漏れ日までがいつもより鮮やかに感じられる。歩くたび、世界が少しずつ広がっていくような気がする。