今月のイラスト
2024.08.12
『歩く』〈スヤリ〉
よく道に迷う。方向音痴に加えて、わき道にそれることが好きなせいだ。隠れているものを見つけたいのかもしれない。RPGで宝箱を探すような、期待。
のら猫、生い茂る植物たち、かすれた文字の看板。
こういうものはあまり、大通りにはない。なるべく生活の気配がある道——日陰気味で狭い道——を歩くと、出会うことができる。そうして「ここに住んでる人は多肉植物が好きなんだな」とか、「室外機がたくさんあるから表は飲食店かな」とか、好き勝手に考えている。
一人で歩くのも好きだが、友人と歩くのも好きだ。人によって見る場所が違うところが、特に。ある人は古いアパートが好きである。ある人は道の落書きやベタベタ貼られたステッカーを好んでいる。
全部100円の自販機、笑う犬、窓に光が反射する。
「いいなあ」と思ったら写真に撮る。あとで見返すと、そのときの天気や湿度を思い出せる気がするからだ。写真を絵にすることもあるが、「いいなあ」と思ったものが多すぎるので、追いついていない。