今月のイラスト
2024.07.22
『夢の途中』〈東京メロンボーイ〉
人けのないファミレスで、元気な声が響いている。
二十代前半くらいだろうか、ひとりの若者が夢を語っていた。
年商一億いきたいだとか、
要するに彼はビッグになりたいらしい。
夢を語る彼のギラギラした瞳とは裏腹に、
夢は簡単に叶わないし、
毎日を生きていくのに必死。
今だってイラストのラフを考えているけれど、
でも思い返してみると、
イラストで成功して高収入を得るだとか、Harry Winstonの高価な腕時計を買うだとか、
あのころの僕の瞳は、間違いなくギラギラしていた。
僕の年収はまだ目標には届いていないし、Harry Winstonの腕時計も持っていない。
だけど、平日の昼間からファミレスで、
ほんの小さな一歩でも、一歩ずつ積み重ねていけたのは、
どうか彼の夢も、未来につながる一片になりますように。
溶けてべちょべちょになったバニラアイスクリームを、
僕と彼は、まだ夢の途中。