今月のイラスト
2024.05.27
自由を感じる時『スケーター』〈ぱいせん〉
スケートボードに乗って走る。
ここはスケートパーク内でボウルと呼ばれる場所だ。
パーク内にぽっかりと空いた穴は一辺が20m深さ3mほど、直角に落ちた縁から底まで茶碗のような曲面が続く。
水を抜いた池のような穴の中で膝を屈伸させブランコのように加速しながら走り続ける。
縁から縁を振り子のように、また壁面を忍者のように縦横無尽に走る様子は見ていてとても気持ちが良い。
ひとしきり走った後、加速したスケーターは壁面を駆けあがり空中に飛び出した。
水面を跳ねるイルカのように放物線を描き緩やかに飛ぶ。
スケーターと対照的に足元ではボードがくるくると複雑に回転している。
ため込んだストレスを発散するように暴れたボードは放物線に沿って落下してきたスケーターと合流し再び穴の中へ戻っていった。
何をどうやっていたのか分からないが軽々とこなしたように見えた。
楽しそうな表情がその困難さを簡単に隠してしまう。
そういうものを見るとすごいなあ、格好いいなあと感動する。
魚のように泳げたら、鳥のように飛べたら、スケーターのように走れたらどんな景色が見れるだろうか。
考えながら筆に手を伸ばす。
魚と、鳥と、スケーターと、それから私、
そんな風に思いながら今日も机に向かう。