連載|すこし、遠回りをしていくから
2024.02.19
vol.12 - 春になったら -〈勝呂亮伍〉
個展を開催する。
大切にしている場所で、大切にしている写真たちを。
コロナ禍の自粛期間に、大切にしている友人の住む街や育った場所たちを誰にも会わずに、ひとり、その人の暮らしを想って写真を撮っていた。(この連載はその地続きで、大切な人の大切にしている街を主軸にしていたりする)
それらの写真たちは「ひかりの水槽」というタイトルで数年前にコンテストで賞を取り、今回、そのシリーズといくつかの新作を展示する。
あの人は来てくれるだろうか、来ないかもな、を行ったり来たりしていて、いつになったらこういうのを楽しめるようになるのだろう、と疑問に思う。し、こういうのを楽しめる人はきっと、写真を撮らないのだろうとも思う。
そんな不安を抱えながら、やはり久しぶりに会える人や会ったことのない人たちのお話を聞けるのを、とても楽しみにしている自分がいたりする。
展示が終わったら新しい発見や出会いがあったりして、静かにだけどゆっくり輪が広がっていくことを願っている。