今月のイラスト
2025.01.27
『語る絵画』Syamauchi

島根県の足立美術館は、「庭園もまた一幅の絵画である」という信念を掲げている。その美しい日本庭園の風景は、イラストレーションを生業とする自分にとって学びの多いものだった。
日本庭園は緻密な計算によって作られる。そこには無駄がないからこそ、木々や石の配置、池や砂紋といった細部に至るまで、作庭家の感性と思想が鮮やかに宿っている。
この庭園を形作る哲学を、自分の作品制作にも取り入れたいと感じた。描く要素を削ぎ落とし、選び残った形を丁寧に整えることで、表現したいことがより鮮明に見えるのではないだろうか。
「一幅の絵画は千の言葉を語る」と言う言葉もあるが、研ぎ澄まされた絵は、多くを描かずとも、豊かにものを語るのだと思う。雄弁な庭園が、制作に対する新たな指針を示してくれた。